ツイッターに流していたものを軽く手直ししてまとめました。
感想のピントがずれてたり、妄想が混じってたり、盛大に誤読しているかもしれません。悪しからずご容赦ください。

A01 糸子教授の人生リセット研究所
悪だくみをするも最初から掌の上だったという、マッドサイエンティストの研究所にふさわしい油断ならなさとおかしみ。途轍もない夢のような技術も、結局人間のアナログな欲望や感情とは無縁でなく、それらと結びつくことで役割を得ているという…こういう泥臭い人間味を絡めたSF大好き。

A02 アフロディーテーの手
返し縫いのように、少し進んでは戻り、少し戻ったか思えば進んでいる。くるくると入れ替わり移り変わる、過去と現在、夢と現実の繋がりが優しげで物悲しい。AIやアンドロイドという硬質な小道具に対して、恋人同士のじゃれあい、時々挟まれるささやかなユーモアが柔らかい。ため息が出るほど美しい構成。

A03 導かれた先は
推理指南と共に、まだあどけなさの残る兄妹のひとときが切り取られ、ほんわか。お兄ちゃんが妹を引率する形だが、妹ももう少し大きくなったら一人で行動できて、導かれる必要もなくなり、手を離す時もそう遠くなさそうなのが頼もしいような寂しいような。オープンエンドが心憎い演出。

A04 地面に手が生えていた
ホラーじみた超常現象かと思いきや、本当に怖いのは生きた人間…というありふれた結論に留まらず、小学生のひたむきな情け容赦ない好奇心こそ最強!という痛快さを重ねてくる。邪念を知らないうちに圧し折ってて笑った。彼らは本当に、興味を抱いた物のエネルギー底なしだからなあ…

A05 現代人外住宅事情
次々繰り出されてくる怖さ。身の回りに起こる怪奇現象もそうだし、助けを求めても誰も力になってくれない孤立感もそう。でも、いよいよ実体を現した妖異は、瞳孔開ききってるような怖さがありつつも、現代のファッションや建築に柔軟に適応しててユーモラス。一瞬安堵させておいての落ち。

A06 魔女と秘密の88手
隠れんぼとか肝試しとか、ノスタルジックな子ども視点の児童文学調から、お姉さんの登場と共に世界が一変する。理屈屋の小生意気な「僕」が魔女の謎に魅了され、前半の何の変哲もない日常の語りから、後半一気に宙に放り投げられる。恋だなあ…成長後も理屈屋なままなのが微笑ましい。

A07 最果ての巫女
ㄟ( ・ө・ )ㄏ

A08 巡り巡って
理想論だけではどうにもならない家族という共同体。何とも言えない親族会議に思いを馳せつつ、多視的な絵に静かに見入る二人のひとときにじんとした。取り返しのつかない断絶が起こってしまった後を生きていく人々や子どもたちの日常に、幸福を祈らずにいられなくなる。タイトルが秀逸。

A09 手を貸した話
ホラーっぽいけど実は怖くない不思議話?と思ったらやっぱりホラー。あー…「手を貸してる間どうするか」は問答してるけど、「手を貸したらどうなるか」は聞いてないのか…。店員と客の、親しいけどこれ以上は踏み込まないという距離感が絶妙で、「手を貸さなかった話」でもあるよな、と。

A10 ハンスと五本指の魔法
素晴らしく骨組みがしっかりした童話。シンプルだからこそ匙加減が難しいだろうに、最後まで雰囲気が崩れない。所々ぴりっと皮肉を効かせてくるのがいいし、冒険の動機であるお姫様の靴の最後の活かされ方も好き。どこかの名作集に入っていそう、と思わせるくらい童話の完成度が高い。

A11 黄昏時にその店は開く
この理想が実現できたら皆がもっと生き易くなるだろうな、という優しい世界。食べ物を軽んじて、同じ食卓につこうとしない悪役に、フード理論を思い出した。食事シーンは個性や関係性を暗示する重要な要素で、食事をとらないという選択もその登場人物の立ち位置を歴然と表すんですよね…。