ツイッターに流していたものを軽く手直ししてまとめました。
感想のピントがずれてたり、妄想が混じってたり、盛大に誤読しているかもしれません。悪しからずご容赦ください。

E01 銀の御手のサジタリウス
射手座・人馬宮を意味するサジタリウス少年が、異端の子の汚名を拭う試練で一角獣を射抜いて…という神話的な物語。森の民はエルフ的な存在なのかな。息詰まるような狩り、無邪気なプロメとのじゃれあい、名誉と居場所を得た代償としての同胞に死を与える運命、移り変わるどの場面も行き届いた言葉選びで滋味に富む。

E02 五月の庭、蕾の君は目を閉じたまま
てっきり口調から小学校高学年くらいに思ってた「僕」が高校生で、他人の前だと硬化するのに、気を許して信頼を置いている人には子どもっぽくなってしまうのが可愛くも苦い。母親の枯らしたミニ薔薇と僕が二重写しになって、僕の居場所のなさも同時に物語る。そしてその薔薇を蘇生させるこうちゃん。情報の投影が巧みで心地良い。

E03 機械細工職人と機械義手
おそらく双方に淡い想いはあるけど生々しくは展開せず、でも技能や作品を通じて、他の誰とも違うオリジナルな関係性を築き、それを生涯貫く…って正直恋愛よりも逃げ場なくて緊密な気が。師匠には私≒義手くらい大事な位置に成り得てたのでは。失われた本当の腕≒妻子には見替えられなくても。

E04 飲み干す残滓
フィクションの中でならどんな外道な行為にも言い分がある。とはいえ、禁断の関係と甘やかに呼ぶには互いの視線が交わってなさすぎて、名前を呼び合ってるのに二人ともずっと独り言を言ってるみたいで、欲したのは、受け入れたのは、本当にその相手で合ってる?と鳥肌と不安に駆られる演出が凄い。

E05 キズアト
ディストピアSFとかっこいいルビ振りのコンボに魅了されないはずがない。惚れ惚れしてたら、孤立に「ぼっち」ルビでくすっとする。焚書…思想統制…華氏っぽい世界観?からの、うわーっそれどころか土台からとんでもなかった!の種明かしが爽快。反撃開始のアクションがぶっとんでて最高。

E06 幕張でバーチャルアイドルミゾレと握手
心の支えになるくらい熱中しているのに、職場や家庭という実生活の場で後ろ暗く後ろめたいあるある…アイドル趣味に限らず。自分で丹精込めて育成したバーチャルアイドルとリアルが融合したライブとか、アドレナリン出まくるだろうな。澤良木さんの迎える感動のフィナーレに胸が熱い。

E07 楽園の手
ディストピアからユートピアに転移した「僕」。巨鳥が棲息し、主食が人間の「手」そっくりの果物の世界…という前半の時点で浮かぶ、なぜ主人公の手は無事なのか?という疑問にも解答を与える後半、被支配層の弱者だった僕の、支配・捕食する強者側への反転がなかなかにブラックな笑いを誘う。

E08 それは手記にも似た
薄靄越しにわずかな感触を探る描写に、こちらも手掛かりを探しながら、女性の手ということは胎内の赤ちゃんが見ている前世記憶? 生まれたてで混乱している、又は故障して制御を失った人工知能の夢? と推理しつつ最後まで引き込まれた。悲しみのつのる結末、でもしみじみと美しい。

E09 夜の谷で
夜の闇の中で、すでに終わってしまった物語を物語る静かなファンタジーは、何度でも読みたい。偶然遭遇した若者にだけこっそり耳打ちする真実という形も滾る。ベダクの消息は世知辛い反面、今度はちゃんと仲間を治癒するという本来の方向に本領発揮することを許されて、彼・彼女の心が救われていればと願わずにはいられない。

E10 夢の異世界ダンジョンへGO!
肉体的にも倫理的にもリアルの縛りを離れたVRで、何にでもなれるはずなのに、何でもできるはずなのに、思てたんと違う!!の主人公の悲喜劇に笑い転げて仕方ない。でも、へこたれずに状況を投げないガッツが当初の目的達成に限りなく肉薄する感じは、王道少年漫画のような熱さ。棺桶なのに。